校長室の窓から
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校長の声
No.37 西脇順三郎の世界

No.37 西脇順三郎の世界 

  12月3日午後、カタリナ館での用事を終えて校長室に帰る道すがら、遠くに4人の立像が。

一瞬なぜか西脇順三郎の詩が浮かび、校長室に駆け込んでカメラを持ち出して、まず一枚。談笑中の4人に「そのまま、そのまま」と声を掛けながら、もう一枚。

なぜ西脇順三郎だったのか、自分でもうまく説明はできません。                             硬質な空間を背に、作業中とおぼしき2人のシスターと1人の女生徒、1人の男性教師。ささやくように談笑する4人の姿・表情の無上の明るさ。まったくさりげない日常的な光景の、しかしまるで天上世界の一コマのような、侵しがたい無言劇……。神はこんな時に……                                                    私に言葉はなく、ただ唐突に西脇順三郎の、あの「天気」が浮かんだのでした。

 

   天気

(覆された宝石)のような朝

何人か戸口にて誰かとささやく

それは神の生誕の日

 

シスターの手元・足元の荷物は何だったのでしょう。その中には宝石のような何ものかが?

西脇順三郎の詩を、もう一つ。長詩「旅人かえらず」の一節―

 

枯れ木にからむつる草に

億万年の思いが結ぶ

数知れぬ実がなつている

人の生命より古い種子が埋もれている

人の感じ得る最大な美しさ

淋しさがこの小さい実の中に

うるみひそむ

かすかにふるえている

このふるえている詩が

本当の詩であるか

この実こそ詩であろう

王城にひばり鳴く物語も詩でない

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